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玄海原発テロ対策についての要望質問書を佐賀県に提出

昨日(7/23)、佐賀県庁を訪問し、以下の要望・質問書を原子力安全対策課副課長に提出しました。
佐賀新聞の報道はこちら:https://www.saga-s.co.jp/articles/-/404411
席上、副課長から、原子力施設の安全性を今よりは向上させるものだから、こちらとしては早くやったほうがいいと思っている」という率直な発言がありました。これに関するやり取りを録音からこの記事の末尾に抜粋・要約します。
1401577.gif8/6付けで回答がありました。実質的内容はありません。
http://www.pref.saga.lg.jp/kiji00370035/3_70035_144709_up_v16e4487.pdf
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                2019年7月23日
佐賀県知事 山口 祥義 様

                さよなら原発!佐賀連絡会
                代表 豊島 耕一

   玄海原子力発電所テロ対策についての要望質問書

テロ対策について県民の意見を聴いてください。
テロ対策施設設置の事前了解を急がないでください。

県民の多くが、玄海原子力発電所が重大事故を起こさないことを願っています。
そもそも、原子炉で核燃料が溶融、メルトダウンする可能性がある原発は、稼働すること自体が許されないのではないでしょうか。

原子力規制委員会は九州電力等の原発事業者のテロ対策施設設置期限の延長を今回認めませんでしたが、一つには大型航空機によるテロ攻撃がありうると判断したからだと思われます。

しかし、今回九電が申請したテロ対策施設を設置しても重大事故は防げませんから、知事が事前了解されないこと、玄海原発の一日でも早い操業停止が必要だと考えます。


● 格納容器を頑健化する工事
原子力規制委は今回、「原子炉建屋(原子炉格納容器)の故意による大型航空機の衝突などの特定重大事故に対処するための施設であるテロ対策施設(特定重大事故等対処施設)の設置を九州電力に要求しています。しかし、不可解なことに肝心な、大型航空機が直接衝突しても壊れないように格納容器を頑健化する工事を要求していません。

2001年の9・11ニューヨーク「同時多発テロ」では乗っ取られた民間航空機2機が世界貿易センタービル2棟に衝突しビルはすべて崩壊しました。

規制委が別の件で参考資料としている『航空機衝突時の使用済み燃料貯蔵施設の耐衝撃評価((財)電力中央研究所研究報告No.7040,2008年)』には、航空機が時速324キロで壁厚85cmの貯蔵施設に衝突した場合、航空機のエンジン(最も重い部分)は貯蔵施設の壁を貫通し、貫通後も時速216キロの速度を持つと解析されています。

大型航空機の通常の速度は時速864キロです。また、玄海原発3、4号機の格納容器と一体型建屋の鉄筋コンクリート製ドームの厚さは約110cmですから、大型航空機が衝突した場合には格納容器は破損し、重大事故になると思われます。

いかなる場合でも格納容器の防護は絶対不可欠ですから、テロ対策を取り入れた欧州加圧水型炉(EPR)では格納容器を2重化し、航空機衝突に耐える合計2.6mの2層のコンクリートの壁を設置することになっています。

安全上の最重要施設である原子炉格納容器が大型航空機によるテロで攻撃され、格納容器が損傷し、原子炉を冷却する配管が破断、さらに電源を喪失すると、九州電力の重大事故シナリオでは核燃料炉心は約22分で溶融(メルトダウン)、原子炉容器は約84分で破損(メルトスルー)することになります(原子炉設置変更許可申請書 資料13「原子炉格納容器の破損の防止」九州電力 平成25年8月15日)。

規制委は、大型航空機が直接格納容器に衝突した場合に破損、破壊しないことを証明できないのであれば、破損した場合に放射能を拡散させないための有効な対策があるのかどうかを検討しなければならないはずです。

しかし、放射能を閉じ込める役割の格納容器が大規模に破損した場合は原子炉の冷却もできず、放射能を除去するフィルター付きベント設備も使えないので、この場合、テロ対策施設は役に立ちませんから、レベル7のチェルノブイリ原発事故のように砂や鉛を投入して放射線の遮断と放射性物質の拡散を抑える方法しかないという恐ろしい事態になります。

質問
1)知事は、直接大型航空機が格納容器に衝突するテロ攻撃への対策として、格納容器を2重化する等の頑健化対策を必要とお考えですか。必要がないとの答えでしたら、理由を示してください。また、県民の安全は格納容器の頑健化対策がなくても守られますか。

2)落合県民環境部長は、6月17日の武藤明美議員の一般質問で、「今回の特重施設が原子炉の破壊そのものに対する備えではないんじゃないかと、それで安全と言えるのかというご指摘がございました。確かに、あらゆる攻撃に対して今回の対策で十分かどうかはわかりません。(以下略)」と答弁されています。「今回の対策で十分かどうかわからない」状況では事前了解の判断はできないのではないでしょうか。

規制庁と九電が県原子力専門部会で配布した説明資料は重要な部分が空白(非公開)で、専門家に限らず誰にも審査の内容は分かりません。同様の説明を受けた玄海町の脇山町長は、「ほとんど秘密事項でブラックボックス化しているが、規制委と事業者のやり取りを信じるしかない(6月20日佐賀新聞)」と述べています。

3)テロ対策費用は電気料金から払われます。2019年3月6日付日経新聞によると、玄海3、4号機のテロ対策の費用は2400億円とありますが、九電からその内訳についてどう説明されていますか。

4)航空機墜落で大規模火災が発生した場合、何分で消火できる、あるいは鎮火すると想定されていますか。
玄海原発に配備されている化学消防車は1台ですが、その消火能力について説明してください。
一面火の海になるような場合は、電源車、ホースやポンプによる冷却水の送水等の「可搬式」設備やパルプ開閉等の「手動」の設備では対応できないのではないでしょうか。

5)避難の判断に必要な情報として、重大事故の場合、フィルター付きベント設備で放射能をどのくらい除去できますか。核種ごとに示してください。

【要望事項】
1. 事前了解を急がないでください。
詳細設計をまとめた工事計画が正式に認可されるまでには時間がかかると思われるので、事前了解を急ぐ必要(理由)はありません。
川内原発では最初の工事計画認可申請が2017年12月(注・玄海は今年の5月16日)、すべての工事計画が認可されたのは今年の6月5日、そのあと工事着工で、着工まで1年半かかっています。

2. 規制委員会に審査内容の全体を公開するように求めてください。
欧州加圧水型炉(EPR)のテロ対策は公開されています。大型航空機が格納容器に衝突しても重大事故に至らないことが明示されていれば、テロ攻撃を抑止できるという考えもあります。

3. 県の原子力専門部会の委員だけでなく、原発に反対ないし慎重な考えの専門家の意見も聴いてください。
特に元東芝原子炉格納容器設計者の後藤政志さんを推薦します。

4. 玄海原発で大型航空機によるテロ攻撃があれば、県民は甚大な被害を受ける可能性がありますから、県民説明会を開催し、パブリックコメントを実施して県民の意見を求めてください。

5. 6月議会でテロ対策の問題についての質問と意見は武藤明美議員一人だけでした。
この件について、県議会議員のみなさん一人一人に意見を求めてください。

以上、回答を2週間以内にお願いします。

(連絡窓口 杉野)
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副課長と私たちのやりとりの一部
副課長: この特重施設、いろいろ問題だというご認識だと思いますけれども、その中身はともかく、これは、原子力施設の安全性を今よりは向上させるようなものだというふうに我々は思っています。それであっても、事前了解は急がないで、ということになるのでしょうか。感覚的には、僕らとしては、早くやったほうがいいと思っているんですけど。
(大型航空機がぶつかった時の対策もないようでは、との反論に)
それはそれとして必要なのかも分からないが、それ以外の、例えば重大事故が発生した時のバックアップ施設なので、一刻も早くした方がいいのではないかと。

T: おっしゃる意味は分かります。私が懸念するのは、このように情報公開も不十分なまま事前了解ということになり、そのままで建設が進んで行くということになると、不十分なままで安心してしまう、これで終わってしまうという懸念が非常に強い、と私は思います。そちらの方が心配です。

副課長: それで終わる、ということではないんで・・・。

S: テロ対策と言っているのだから、格納容器に航空機がぶつかった時にどうなのかということをはっきりさせてもらわないと。
規制委員会が、航空機がぶつかっても大丈夫なように対策をします、と言っているのだから、それを九電にさせます、と言っているのだから、それはちゃんとさせます、と言ってもらわないと。それが難しいと言うのだったらもう原発は止めてもらいたいと思うんですけど。

M: 2,400億円でテロ対策を、特重施設を作ると言うことになるわけだけど、それぐらいのお金をかけると言うことであれば、なお、2重の格納容器にして、少々高くなっても、県民はまだ安心ですよ。単なる事故対策と違う、テロ対策と銘打っているわけだから、そういうふうにしてもらいたいと思います。

T: だから、急ぐにしても十分な情報公開と県民の理解、納得の上でやらないとまずいんじゃないですかね。急ぐということは大変重要なことではありますが。
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