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佐賀県知事の直接面談拒否に抗議--乾式貯蔵施設問題

前の記事のように、脱原発佐賀ネットワークは、九電の「乾式貯蔵施設」新設計画への知事の事前了解について、質問に直接面談で答えるよう求めていましたが、曖昧な理由で拒否、それから間をおかず事前了解をしてしまいました。ネットワークは、佐賀県庁で記者会見を開き、これに抗議の意思を表明しました。
30日深夜現在、佐賀新聞が報じています。
https://www.saga-s.co.jp/articles/-/832880

ネットワークとしては、再度知事に面会を求める予定です。
メディアに配布した文書をこちらに掲示します。
目次
1)声明文
2)乾式貯蔵施設の問題点
3)県とのやりとりの経緯

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1) 声明文
「乾式貯蔵施設」の事前了解、知事による密室での決定は認められない
  − 知事は理由を曖昧にしたまま市民団体との直接対話を拒否 −

          脱原発佐賀ネットワーク 代表 豊島耕一・野中宏樹

当「脱原発佐賀ネットワーク」では本年2月14日、「乾式貯蔵施設」の問題で山口祥義佐賀県知事に質問状を提出し、直接の面会で回答されるよう要請をしました。質問の内容は、当ネットワーク構成団体の一つである「さよなら原発!佐賀連絡会」が昨年来、この問題に関する文書による質問・要請と回答の2度にわたる往復で煮詰めたものです。しかし知事は、理由を曖昧にしたままこれを拒否しました。しかも文書での形だけの回答からわずか1週間後に、「乾式貯蔵施設」の事前了解を発表しました。
当要請は、それまでの文書回答では正面から答えてもらえなかった問いを、直接面会によって知事に答えて頂きたいという趣旨でした。直接の面会を断る理由について、日程、面会時間、それとも意見交換という形式のためかと具体的に理由を尋ねましたが、3月22日の原子力安全対策課からのメールでの回答は以下のようなものでした。
『今回の知事との面談の御依頼については、「知事と、3月前半(15日まで)のうちに、3項目に関する意見交換を40分間以上行いたい。この条件が整わなければ面談は行わない。」というものでした。このことについて検討した結果、県としては、今回は面談ではなく文書でお答えすることとします。』
日程や面会時間については当然おたがいに調整の可能性があるにもかかわらず、その提案もなく理由も曖昧にして断ると言うのは不誠実です。今回、面会を要請したところ、原子力安全対策課からは出席予定の10団体それぞれについての「団体概要」という文書の提出を求められ、それに応じる手間を我々に取らせた後での、唐突な面会拒否でした。

1年前に当「ネットワーク」が知事と面会した際、知事は「時々皆さん方のお話を直接聞くということも大事です」と発言されましたが、これを裏切るものと言わざるを得ません。

しかも件の3月18日付けの文書解答は、我々が懸念した通り、全く実質的な解答にはなっていません。まさにこのことを懸念したため直接面会を求めたのです。

私たちの質問状の中でも繰り返し述べているように、この「乾式貯蔵施設」の問題は、搬出先とされる六ヶ所事業所の稼働の見込みが立たない中、数十年、もしかするともっと長期に玄海原発に留め置かれる可能性があり、佐賀県民にとって長期にわたる負担となる恐れがあります。しかも仮に運び出せたとしてもそれで解決ではなく、全国民、のみならず全地球的観点からは、数万年先の世代にまで放射性物質の管理負担を負わせる問題でもあります。

このような重要な問題について、私たちに限らず、県民、市民との開かれた対話の機会がこれまで持たれることはありませんでした。これでは到底「開かれた県政」とは言えないでしょう。あらためて知事には、この問題に限らず、公開の対話を求めて行きます。

2022年3月30日

脱原発佐賀ネットワークは以下の10団体からなります。
玄海原発対策住民会議
さよなら原発!佐賀連絡会
玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会
さようなら原発1000万人アクション
佐賀県原発問題対策協議会
原発を考える鳥栖の会
原発なくそう!九州玄海訴訟原告団・弁護団
玄海原発反対!からつ事務所
玄海原発の廃炉問題を考える会
原発と放射能を考える唐津の会

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2)乾式貯蔵施設の問題点
1.施設固有の問題点
(1)使用済み核燃料保管量が著しく増大することに伴う管理上の危険が大きくなること(リラッキング工事により522体が増化し、さらに乾式貯蔵により960体も増加する)。
(2)キャスク自体が、アメリカ製のキャスクと比べて高価であるのに非常に脆弱であること。審査に合格してもキャスク外に放射線が多量に漏れることは防げない(表面から1mの線量は、評価結果最大値86μ㏜/h)。
従って乾式貯蔵施設の作業環境は放射線量が異様に高く、作業員の被ばくが避けられない。自動化等の不備のため、無人操作もままならない。
(3)重大事故対処施設(テロ対策施設)でないこと。少なくとも地中化して安全性を高める必要がある。

2.設置すること自体の問題点
(1)設置の目的
六ヶ所再処理工場の完成の見込みがないため将来にわたって搬出できないので、使用済み核燃料の半永久的な保管場所になってしまうこと。

(2)県の事前了解の問題
 県は搬出の見込みがないことを十分知りながら、事前了解したこと。長期保管の問題を検討していない。

(3)六ヶ所再処理工場について
 使用済み核燃料をせん断・化学処理してMOX燃料用のプルトニウムを取り出す施設であり、その性質上、環境の放射能汚染は通常の原子炉よりも桁違いである。
 1993年に着工し、97年の完工予定が25回延期され、完工は2023年度上期とされている。2020年7月に原子力規制委員会の安全審査に合格したが、次の段階の「設計及び工事に関する認可」で膠着状態となっている。また、高レベル廃液を使ったアクティブ試験を行っているため主要工程が放射能でひどく汚染され、人が近付いて耐震工事をすることができない状況になっている。
「ウラルの核惨事」*と言われるような、廃液の爆発事故で国土が広範に汚染される可能性がある。「高レベル廃液のガラス固化」技術が確立しておらず、経済性もない。
日本はフランスとイギリス、東海村で再処理して既に46トンのプルトニウムを所有している。核不拡散の観点からプルトニウム保有量を減少させることを国際社会に表明しているにもかかわらず、再処理によりプルトニウムが大量に生産されてしまう。
以上のような理由から、六ヶ所再処理工場が稼働する見込みはないと考えられている。

*1957年にソビエト連邦ウラル地方のマヤーク核技術施設で発生した原子力爆発事故。
以上

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3)乾式貯蔵施設 設置問題 経緯
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日付  当方* 県側
     ↓   ↓
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2021年
4月28日 (原子力規制委員会が設置を許可)
8月16日 連絡会から佐賀県に要望・質問書を提出
https://byenukes-saga.blog.ss-blog.jp/2021-08-16
9月3日 (玄海町が乾式貯蔵施設を事前了解)
9月22日 ・・・・ 県から回答(27日一部訂正)
https://www.pref.saga.lg.jp/kiji00382590/index.html
10月4日 連絡会から佐賀県への再質問
https://byenukes-saga.blog.ss-blog.jp/2021-10-18
11月2日 ・・・・ 県から再質問の回答
https://www.pref.saga.lg.jp/kiji00382590/index.html
2022年
2月14日 脱原発佐賀ネットワークから知事への面会要請
https://byenukes-saga.blog.ss-blog.jp/2022-02-15
2月17日 ・・・・ 原子力安全対策課から構成団体各々の「概要」の提出依頼
2月28日 同「概要」の提出完了
3月4日 ・・・・ 原子力安全対策課から直接面会の断りの電話
3月7日 ネットワークから原子力安全対策課に理由の問い合わせ(電話、のちメール)
3月18日 ・・・・ 県から文書回答
https://www.pref.saga.lg.jp/kiji00385158/index.html
3月22日 ・・・・ 原子力安全対策課からの返信メール(報道発表文に引用)
3月24日 ・・・・ 県が九州電力に事前了解を伝える
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*「当方」は、2021年は「さよなら原発!佐賀連絡会」(連絡会)を、2022年は当「脱原発佐賀ネットワーク」(ネットワーク)を指します。
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