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原子力災害対策の考え方についての再質問書

10月4日に佐賀県に原子力災害対策についての質問書を提出し,その回答とそれへのコメントを11月9日に発表しました.今回,これについて再質問書を提出しました.12月20日に県庁に出向いて職員に方に手渡したものです.その全文を公開します.
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2013年12月20日

佐賀県知事 古川 康 様

さよなら原発!佐賀連絡会
代表 豊島 耕一


原子力災害対策の考え方についての再質問書

 原発を再稼動すれば重大事故が起こる危険性がありますから、被害を受けるおそれがある県民の意見は十分に県政に反映されなければなりません。知事はご自身の考えを明らかにして、それに対する県民の意見を聞かれるべきです。
 再度質問しますので、県民が議論できるように明瞭な回答を文書で12月27日までにお願いします。また、回答について説明を求めますので場所と時間を調整してください。

1、再稼動の事前了解について
① 原発は電気を作る設備にすぎないので、福島のように人々をひどく苦しめる事故が想定される原発はそもそも稼動を禁止されるべきものではないでしょうか。
② 県民に事故のリスクがあっても再稼動するメリットがあるなら、具体的に示してください。
③ 県は、9②の答で『原子力政策をどうするかということについては(略)国において議論し、検討していくべきものと考えているところです』と回答されていますが、原子力発電は安全が保証されませんから県民の安全と財産、佐賀県の環境を守ることを第一に考えるべき佐賀県知事としては再稼働を了解すべきではないのではありませんか。
④ また、県は7の答で国による厳正な審査を期待されていますが、原発を再稼動させようとする国の政策では、たとえば設置されるベント設備の地震による破損で住民が被ばくする可能性を新潟県が指摘しているように県民の安全は二の次になる恐れがあります。佐賀県も専門委員会を設置して玄海原発3・4号機の安全性を検討すべきではありませんか。

2、県民の被ばく限度量について
  重大事故およびそれ以後の県民の被ばく限度量をいくらと考えるかによって、避難計画も除染のあり方も違ってきます。
  人への健康影響を考慮した現行の法令による基準は年1mSvですから、再稼動で県民の健康が犠牲にならないように、知事は国と九州電力に県民の年間被ばく限度1mSvを厳守させることが必要ではないでしょうか。
(注)これまで一般の年間被ばく限度は1mSvとされ、これは100歳まで生きても1mSv×100年で100mSvを超えないことで晩発性障害や発がんのリスクは小さいと考えられたからです。年間5mSvを越える場所は、18歳以下は立ち入り禁止で大人も飲食や休憩することは禁止される放射線管理区域と同じですし、チェルノブイリ原発事故のあった旧ソビエトでは居住禁止区域です。チェルノブイリ原発事故から25年後ウクライナ政府がまとめた原発事故報告書には、年間5mSv以下の汚染地域で生まれた子供たちの78%に慢性疾患が認められ、正規の体育の授業を受けられるのは14%でしかないとあります。このように年間被ばく線量が1mSvを超えると5mSv以下であっても決して安全ではありません。

3、県の3の答は、国において土壌の汚染の限度となる基準は示されていないということですが、農業者の納得できる基準のないまま原発を再稼動させてよいものでしょうか。

4、県は4②「県土と海を除染等で事故以前の状態に回復できるでしょうか」の質問に「県において判断できる知見があるわけではありません」と答えられていますが、事故以前の状態に回復できる見込みがないのに原発を再稼動させてよいものでしょうか。

5、県民を被ばくさせない避難計画について
佐賀県は避難ルートをそれぞれに1ルートしか決めていませんが、このルートが風下になった場合、県民を被ばくさせることになります。佐賀県は県民を決して被ばくさせないために避難ルートを複数用意することが必要ではないでしょうか。

6、一律に少なくとも60キロ圏外への避難について
 (県の6の回答では放射能が実測されてからの避難について説明されただけで「一律に60キロ圏外に避難すること」についての考えは、回答されていません)
  佐賀県で福島のような事故を想定すると福島県では30キロ圏外でも強く放射能汚染された地域がありますから、また風向きは変化するので、県民を被ばくさせないためには一律に少なくとも60キロ圏外(アメリカでは80キロ圏外としている州もあります)に避難させるほうが安全ではないでしょうか。60キロ圏外に避難させない理由は何でしょうか。

7、避難体制について
① 前回の回答で『一定の避難体制はすでに確保しています』とありますが、全住民への事故および避難情報の確実な伝達、要援護者全員の安全な避難、悪天候での離島の避難、予想される大渋滞での住民の被ばく、ヨウ素剤の配布、30キロ圏外の避難計画等、課題は山積みのように思われます。11月30日に原子力防災訓練が行われていますが、県は実行可能な避難体制について残っている課題をどのように把握していますか。また、どう対処する計画ですか。
② 原発事故の災害関連死を一人も出さないために、どのような対策を考えられていますか。
③ 5キロ圏内の住民のすべて(要援護者、来訪者や観光客も含む)が30キロ圏外への避難に要する時間は、道路渋滞も予想できますが最悪の場合何時間と想定されていますか。この場合、最大はどのくらい被ばくすると考えていますか。
④ 県は県内を固定式のモニタリングポストと可搬式のモニタリングポスト、モニタリングカー等をどのように使って放射能を測定して避難に利用するのかを具体的に示してください。また、放射能の拡散予測の方向によって、UPZ内のどの地域が避難することになっているかを示してください。
⑤ 2次避難所の条件はどのように考えられていますか。また、2次避難所はどこに決まっていますか。もし決まっていなければ、いつまでに決まりますか。
⑥ 原子力災害発生を想定したどのような当直連絡体制になっていますか。重大事故が真夜中に停電、電話が不通の状態で起こった時、災害対策本部の初動体制をどのようにして準備しますか。

8、PPA等について
① 県は規制委員会の「PPA(プルーム通過時の被ばくを避けるための防護措置を実施する地域)の導入に関する検討結果の提示を待って対応を検討するものとする」と答えられていますが、これは再稼動の事前了解の判断の前に対応がなされると考えてよいのでしょうか。
② 『UPZ(緊急時防護措置準備地域)の地域以外であっても、OIL(防護措置の実施の判断基準)に基づき避難等が必要になる場合には避難指示を行うこととされており、県においてもこの考えに基づき適切に対応する』答えられていますが、UPZ地域以外の市町においても空間線量が毎時500μSvになれば直ちに避難が必要になりますので、避難計画が作成され避難訓練等で実行可能性が確認されてから、事前了解の判断があると考えてよいのでしょうか。
③ 『飯館村のような放射能の汚染があった場合、直ちに避難の必要はなく1ヶ月以内に避難すればよかったので、また時間線量が20μSvと予想されても1週間以内に避難することになるので、あらかじめ避難計画を作る必要はない』(12月2日県議会一般質問知事答弁から)とお考えでしょうか。
④ 空間線量500μSv/h で避難(OIL1)となっていますが、2時間で年間被ばく限度量に達します。また、以下の福島原発事故の際の計測値から考えても高すぎる値です。この点についてどうお考えでしょうか。
(注)文部科学省は、2011年3月13日から各地に車を走らせ放射線量の計測を行っていた。最も高かったのは、3月15日20:40~50に浪江町の国道114号線赤宇木地区手前3か所での空間線量車外330マイクロシーベルト/時間。
追加分
9、県の今年度原子力災害対策予算の収支の明細は、どのようになっていますか。また、市町への原発関連の交付金の明細はどのようになっていますか。

10、12月13日の県議会特別委員会で井野博満東大名誉教授が参考人陳述を行いました。
その中で、井野氏は九電の重大事故対策について以下の2点を指摘しました。(詳細は録画を見てください)
① メルトダウンしたときのコア・コンクリート反応(溶融燃料とコンクリートの反応)による水素爆発と一酸化炭素爆発の危険性 
②メルトスルーする場合、格納容器の底に水を張る対策での大規模な水蒸気爆発の危険性
このように九電の申請している事故対策は安全だとは言えないようですが、以上の2点の場合について安全だとお考えでしょうか。

11、原発の安全の保証について
規制委員会は原発が新規制基準に適合していることを確認しますが、安全の保証は

しません。県は誰がどのような根拠で安全を科学的に保証すると考えていますか。

(連絡先 杉野ちせ子 携帯 xxx-xxxx-xxxx 住所 xx)
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