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昨年来の佐賀県からの回答に対するコメント

「さよなら原発!佐賀連絡会」では,昨年来,原発へのテロ対策等について佐賀県に繰り返し質問・要望をし,その回答を受け取りましたが,そのうち最近の回答2件について,評価コメントを以下に公表します.

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                       2020/3/1

テロ対策、県回答についてのコメント
          さよなら原発!佐賀連絡会 (文責・杉野)

7・23質問8・6回答について

質問1では、大型航空機が直接格納容器に衝突するケースのテロ対策で、格納容器の頑健化対策の必要性と、それがない場合の県民の安全について質問していますが、知事としての回答がありません。規制基準の説明と規制委員会への県の期待だけです。

質問2では、落合部長の「確かに、あらゆる攻撃に対して今回の対策で十分かどうかはわかりません」との答弁を例に、事前了解の判断はできないのではないかと質問していますが、明確な答えがありませんでした。重要な部分は非公開の資料について専門家会議で意見を聞いただけで、今回の対策で十分かどうか明確にならない中で事前了解しています。

質問3では、テロ対策費用2400億円の内訳を質問していますが、県は内訳を九電に問い合わせることはしていません。

質問4では、航空機墜落で大規模火災が発生した場合の対策を質問していますが、県は「適切な手順、機器等で消火活動が行われると考えている」と回答していますが、1台しかない化学消防車の消火能力は水槽容量はわずか1.3㎥しかありません。これでは大規模火災に迅速に対応できないと、どうして県は考えないのでしょうか。油断していませんか。

質問5では、避難判断の情報として必要なフィルター付きベント設備の放射能除去能力を質問していますが、非公開情報である、「海外施設と遜色ない」との規制庁説明があったことが回答でした。海外施設のフィルター付きベント設備の能力を県は独自に調べることは可能なのに、何の情報もないまま事前了解してよいのでしょうか。

要望事項1では、工事計画認可まで時間があるので、事前了解を急がないことを要望しています。しかし、県は議論が尽くされないまま(県議会で質問したのは武藤議員の1回だけ)8月9日突然、事前了解しました。

要望事項2では、規制委員会に審査内容の全体を公開するよう申し入れを求めましたが、肝心な部分が非開示であることを県は容認し、テロを防げるのかどうかのチェックができていません。県には事前了解できる根拠がありません。

要望事項3では、慎重な意見を持つ専門家の意見も聞くように要望していますが、そのような専門家を何人も招致して意見を聞いている新潟県等とは異なり、佐賀県には慎重な意見の専門家に積極的に意見を聞く姿勢がありません。

要望事項4では、県民説明会やパブコメを要望していますが、このような方法では意見を聞かないと回答しています。しかしなぜ実施する必要がないのかの説明もありません。県民は知らないほうが良いのでしょうか。

テロ対策に肝心な格納容器の頑健化対策がないことなどが広く県民に知れ渡ると、新たな工事が必要となって再稼働が難しくなるので、県は形だけの専門家会議で幕引きを図ったように思われます。

9・11質問10・8回答について

質問では、県による聞き取り調査結果をまとめた文書「原子力規制庁への確認結果」[注]で,大型航空機が直接原子炉容器に衝突した場合過酷事故にならない保障のないことが明らかになりました。この場合、県民の安全は保障されないので、当然玄海原発の3、4号機の事前了解は撤回されるべきだと質問しました。
① 職員3人を規制庁へ出張させ直接聞き取りを行ったことは、事実を確認する方法として評価します。しかし、その確認の結果は、大型航空機が直接原子炉容器に衝突した場合に過酷事故にならない保障がない、ということを意味しています。
② 県は「確認作業をしたから事前了解を行ったので、了解は撤回しない」という回答でしたが、過酷事故にならない“保障のない”ことを確認しているのですから、事前了解するのは論理矛盾です。
③ 欧米では大型航空機の格納容器への直接衝突を想定しているので、日本のテロ対策だけ直接衝突の防御対策が必要ないとは考えられません。設置許可基準規則第42条1項が、『原子炉建屋(格納容器)への故意による大型航空機の衝突その他のテロリズムに対してその重大事故等に対処するために必要な機能が損なわれる恐れがないものであること』を要求していますから、当然格納容器の頑健化対策が必要です。それを規制委員会が規則の解釈で頑健化対策を根拠もなく要求しないこと、必要ないとするのは誤りです。県がすべきことは規制委員会にこの誤りを指摘することです。また、県民の安全を考えるなら、九電に頑健化対策を要求すべきです。
④ 県が「原子力規制庁への確認結果」を県のホームページに掲載したのは、8月9日の事前了解の当日です。記者発表もありませんでした。確認結果を県民に周知してから事前了解の判断を行うべきであるのに、そうしなかったのは県も確認結果が事前了解に矛盾していることを分かっていたからではないでしょうか。

県が県民の安全を第一に考えずに、事前了解を行なったことは明らかだと考えます。

欧米のような格納容器の頑健化対策を規制委員会はどのように要求するのだろうと思っていましたが、規則の解釈で対策しなくてよいようにしたことを知った時、こんなやり方を規制委員会はするのかと驚きました。佐賀県はこの規制委員会のやり方をそのまま踏襲しているのですが、確認結果を見ると確信犯のようです。

[注] https://www.pref.saga.lg.jp/kiji00370131/3_70131_144935_up_43j7psai.pdf
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