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玄海原発許可への「審査請求」の意見陳述会を原子力規制庁で開催(プレスリリース)

福岡核問題研究会のプレスリリースを転載します.
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       プレスリリース 2020年2月10日,福岡核問題研究会
                       (文責:豊島耕一*)
          印刷向けPDF

玄海原発許可への「審査請求」の意見陳述会を原子力規制庁で開催

 − 規制庁,水蒸気爆発否定・再臨界否定にいずれも根拠示さず –
 − 原発避難と通常運転時の健康被害については「再稼働審査の対象外」とするも,司会は規制庁に再回答を指示 –

<要約>
福岡核問題研究会(もと大学教員ら)の有志を主なメンバーとする6名は,九州電力玄海原発3,4号機が新規制基準に適合すると認めた原子力規制委員会の許可は不当だとして2017年4月に審査請求(異議申し立て)をしていました.そのプロセスの一つである意見陳述会が先週金曜の2月7日,東京の原子力規制委員会で開かれました.請求者側から3名,規制庁側は,処分庁(玄海原発に関する許可処分の担当者:質問回答者)2名,審査庁(審査請求の担当者)3名,法規部門(法的事項に関する質問回答者)1名,速記者の計7名が出席,1時間半にわたって意見陳述と回答のやり取りが行われました.

席上,私たち請求者らは,かつてNHK福岡も取り上げた水蒸気爆発の危険性と,事故時の住民避難や通常運転時の健康被害が審査の対象外となっていることの問題を取り上げました.

規制委員会側は,水蒸気爆発の危険性を否定する明確な根拠を挙げず,また後二者については単に「審査の対象外」を繰り返すのみで,これに関して法律や国会決議が求める規制委員会の任務との関連には触れずじまいでした.私たちは炉心溶融事故時の再臨界の可能性も問題にしていましたが,「起こらない」とする審査書の断定はまともな検討もなしになされていることが明らかになりました.

ただし,事故時の住民避難と通常運転時の健康被害問題を審査の対象外としたことについては,審査庁側で審理官である司会が規制委員会に再回答を指示しました.
今回のやり取りで,規制委員会の玄海原発審査「合格」の不当性が一層明らかになりました.

<詳細>

陳述人(審査請求側.以下敬称略)審査請求人・総代,計3名
  三好永作(九州大学名誉教授,理論化学,福岡核問題研究会・代表)
  豊島耕一(佐賀大学名誉教授,原子核物理学,「さよなら原発!佐賀連絡会」代表)
  北岡逸人(代表.元柏崎市市会議員,福岡市在住,52歳)
傍聴者(審査請求人)1名:木村雅英(再稼働阻止全国ネットワーク)

規制庁(6名)
処分庁(許可処分の担当者:質問回答者):止野友博,中川淳
審査庁(審査請求の審理担当者:審理官):川﨑憲二(司会者),桐原大輔
審査庁(審査請求の窓口担当者):田中基成
法規部門(行政不服審査法に関する質問回答者):松岡賢
速記者:規制庁の委託業者1名

陳述内容の概略
1)炉心溶融を水で受け止める九電の対策を可としているが,その根拠が明確でない.むしろ専門家の国際的合意に反し,危険である.
2)原子力防災の有効性が全く検証されていない.通常運転での液体トリチウム大量放出が玄海町など周辺住民の高い白血病死亡率の原因である疑いがある.トリチウム内部被曝では細胞が二重にダメージを受ける「2ヒット効果」が重要である。
3)炉心溶融事故の時の水蒸気爆発や再臨界の可能性の検討が不十分である.
4)韓国と近いなどの地理的条件,偏西風や対馬海流などの気象条件から,玄海原発における重大事故の及ぼす人的・経済的被害は福島原発事故よりも過酷であることが予想される.

回答の概要
規制委員会の回答は事前提出した質問への文書回答*と、当日の質問への回答であった(後日回答予定あり)。例えば,水蒸気爆発や再臨界に関する検討を定量的な解析無しに大丈夫と判断。模擬弾の落下は審査していないが再評価不要と判断。原子力防災は審査対象外として回答しない処分庁に対して,司会の審理官(川﨑氏)は避難の問題など部分的だが再回答を促した.(司会は全般的に,公平な議事運営に努められたことを評価します.)

なお,これまでの審査請求に関する審理手続きを通じて,以下のような制度上,運営上の問題点が明らかになりました.
1)司会も含め今回の審査役,つまり裁判に例えれば裁判官役が,審査の対象である同じ規制庁の職員(玄海原発等加圧水型原発の審査はしてないが沸騰水型原発の審査担当者)であることは,審査者の「第三者性」を欠くものであり,制度的な欠陥である.
2)この意見陳述会は非公開で,審査請求人以外の傍聴は認められず「透明性」が確保されていない.(陳述会の録音のみ可能で録画・中継・写真撮影の申し出は断られた.)
3)審査請求の最初のプロセスで,審査書に関する私たちの問題点指摘に対する規制委員会の「弁明書(以下の参考資料3に掲載)」が,問題点指摘に1つも答えず「審査書を見よ」というような1枚の文書で,事実上「弁明」の制度・プロセスを無視するものであった.
4)再三にわたって催促したにも関わらず,意見陳述会が開かれたのが玄海再稼働の後で,しかも申し立てから3年近くも経過した.

川田龍平・参議院行政監視委員会委員長との面談
このような審査制度と審査のあり方に大いに疑問を感じた私たちは,意見陳述会の終了後,参議院行政監視委員会委員長の川田龍平氏と議員会館で面談しました.これには山崎久隆氏(たんぽぽ舎)も同席しました.川田議員におかれては,私たちの問題意識を十分に共有してもらえたと思っています.

*処分庁の回答 https://1drv.ms/b/s!Al6bSW40ynU5mzdT29NtmHOGCWKG?e=lOJWbj

参考資料
1)陳述者の当日の資料
 三好 スライド http://ad9.org/pegasus/nuclear/plea2020feb/miyoshi-slide.pdf
  陳述原稿 http://ad9.org/pegasus/nuclear/plea2020feb/miyoshi-speech.pdf
 豊島 スライド http://ad9.org/pegasus/nuclear/plea2020feb/kiseicho-pr-toyoshima.pdf
  陳述原稿
   防災 http://ad9.org/pegasus/nuclear/plea2020feb/plea2-toyoshima-talk-temp.pdf
   白血病 http://ad9.org/pegasus/nuclear/plea2020feb/plea5-toyoshima-talk-temp.pdf
 北岡 スライド 陳述原稿 https://1drv.ms/u/s!Al6bSW40ynU5mzX0UVvIAtZiGut1?e=u2ZetD
   (「行政機関の原子力規制委員会に望まれていること」と題する文書を含む)
2)当日の追加提出資料:岡本良治ほか「炉心溶融物とコンクリートとの相互作用による水素爆発,CO爆発の可能性」,科学(岩波書店),2014年3月号,pp.355-361.
 http://jsa-fukuoka.sakura.ne.jp/shiryo/Kagaku_201403_Okamoto_etal.pdf
3)審査請求の関係書類一式「審査請求書(2017.4.17),弁明書(2019.9.18),反論書(2019.10.11),事前質問(2020.1.17)」は次のリンクからダウンロード可.
 http://jsafukuoka.web.fc2.com/Nukes/kikaku/files/b62732674593605ef0df25fb6959671a-113.html
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* 文責 豊島耕一
 toyosima@ta2.so-net.ne.jp,自宅電話/ファクス xxxx-xx-xxxx,携帯 xxx-xxxx-xxxx
 (ウェブ公表版では電話番号は省略)
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