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原子力防災訓練に関する質問への県からの回答

1月31日と2月14日に佐賀県に提出していた質問への回答がありましたので、次にpdfのまま掲示します。
2019年1月31日付け「原子力防災訓練に関する質問の追加提出について」への回答について
http://ad9.org/blog/nuclear/y2019/kenkaitou190131d.pdf
2019年2月14日付け「原子力防災訓練に関する質問の追加提出について」への回答について
http://ad9.org/blog/nuclear/y2019/kenkaitou190214d.pdf

以下、テキストにしたものを追記します。

2019年1月31日付け
「原子力防災訓練に関する要求書」 への回答について
          (2月14日付け追加質問への回答にジャンプ

項目(1) 訓練項目別実施要領3「(1)災害対策本部等設置運営訓練」及び「(2)緊急時通報連絡・情報伝達訓練」は全県下が停電でも可能かどうかの検討が必 要。(P2、P10、P11)

(答)
○原子力災害時に災害対策本部が設置され、TV会議を行う県や、玄海町・唐 津市・伊万里市の防災関係執務室やオフサイトセンターなどには非常用電源 設備が整備されており、停電時にはそれを稼働させることにより、電気が供給 されるようになっています。
○また、万が一、長期にわたって停電が続くようなことがあっても、燃料(軽 油やA重油等)を調達することで、継続した発電を行うことが可能です。

項目(2) 「(3)気象情報提供訓練」はSPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)を利用しなければ放射能の拡散予測は困難。(P12)

(答)
○ 国は、原子力災害発生時において、
・ いつ、どのような放射性物質がどの程度放出されるかあらかじめ正確に予 測することは不可能であること
・ 気象予測にも不確実性が含まれること
・ SPEEDI等の予測的手法の結果に基づき避難を行った場合、その予測
と異なる方向に放出があれば、かえって放射線被ばくの影響が増大するこ と
などから、緊急時の避難等の判断にSPEEDI等の予測的手法は活用しな いこととしています。
○県としては、原子力施設周辺の住民等に対する放射線の影響を最小限に抑 える防護措置を確実なものとするための専門的・技術的事項が定めた国の原 子力災害対策指針に基づいて避難を実施する必要があると考えているところ です。

項目(3) 「(4)ヘリテレ伝送システム等による情報収集訓練」は、ヘリテレ伝送システムが悪天候等で使えない場合の代わりの方法の用意が必要。(P13)

(答)
○実際の災害は必ずしも避難計画で想定しているとおりに対応できるもので はなく、むしろ、予定していた資器材や避難経路、避難先施設等が使えないな ど、計画通りにいかないことがあると認識しています。
○そのため、現行計画を基本としながらも、実際の状況に応じて、どう適切に 対処するかといった対応力を鍛え、実効性を高めていくことが極めて重要と 考えており、これまでも図上訓練において、渋滞をはじめ、色々な困難な状況 をブラインドで発生させて、どう対応するのかといったオペレーションの訓 練等を実施してきています。
○例えば、原子力災害時には、ヘリテレ伝送システムの使用が状況把握等に有 効であることはもちろんですが、その使用の可否に関わらず、主要な避難経路 上の交差点などにおいては警察等による交通誘導を行うこととしており、大 規模な渋滞や通行止めが発生した場合には、災害対策本部と調整を図りなが ら、臨機応変に避難住民を別の道路へ誘導することとしています。


項目(4) 「(5)緊急時モニタリング訓練」は、結果がどのように県民の安全に生かされるのかが明確でない。(P14)

(答)
○県では、30km圏内にモニタリングポストを26局、電子線量計を32台 設置しており、さらに、県内全域を測定するため30km圏外にも可搬型モニ タリングポストを19台整備(主に各市町の役所・役場等に整備)しています。
〇今年度も関係者により、緊急時にこれらの測定器を使用して防護措置の実 施判断に係る連続測定を実施するための訓練が行われています。
○災害時にはこの測定結果により、さらに必要に応じて調査地点を追加する などして、30km圏外においても毎時20マイクロシーベルトを超える空 間放射線量となる地域が確認され、避難が必要となった場合には30km圏 内と同様、1週間以内に避難を実施することとなります。
〇30km圏内外を問わず、万が一避難が必要となった場合には、報道機関へ の報道要請、県公式SNSやホームページ、緊急速報メールや防災ネットあん あん、市町の防災無線や広報車などあらゆる手段を使い、住民の皆さまには情 報伝達を行ってまいります。


項目(5) 「(6)住民の屋内退避及び避難訓練」は、避難時の渋滞、5キロ圏外の人も同時に避難開始でより混雑渋滞の可能性、急病人の発生、避難所の狭さ、飲 料水、食料、寝具、トイレ、駐車場、福祉避難所の確保、避難の長期化(特に 要援護者)等が検討されていない。(P17)

(答)
○原子力災害が発生した際、UPZ(5~30km圏)にお住いの方々におい ては、まずは放出される放射性物質からの影響を避けるため、屋内退避をして いただくことが重要と考えています。
○ 屋内退避をしていただき、避難指示があった地域の方のみ、避難していただ くことが、身体への放射線の影響を最小限に抑えられるだけでなく、住民の避 難車両が殺到することによって起こりうる事故や渋滞等の抑制にもつながる、 ということをご理解いただき、協力していただきたいと考えています。
○その上で、避難経路上で地震や渋滞等により一部の避難経路が通れない(通 りにくい)状況が発生した場合には、迂回経路を選定し関係者による避難誘導 を行い、場合によっては県外のルートを使用するなどして、通行可能な別の道 路を使用して避難することとしています。
○また、これらの対応と並行して、救助が必要な方(怪我人・急病人等)の救 助を実施することとなりますが、県内各所に救護所を設けたり、消防等の関係 機関が支援を行います。
○もし、指定されている避難所に避難者が入りきれなかったり、何らかの理由 で避難先施設が使用できない状況となった場合は、まずは県内の施設を代替 えの避難先として活用することとしています。
○また、万が一、県内の避難先施設では受入人数が不足するようなことがあれ ば、他都道府県と締結している災害時相互応援協定に基づき、避難を受け入れ ていただくよう調整することとしています。
○在宅の避難行動要支援者の方々については、介護の必要な方を含め、まずそ れぞれのお住まいの地区の方々と同じ避難先施設へ避難していただき、その 中で 一般の避難所での生活が難しい方については、避難先となっている市 町を含む30km圏外の17市町の福祉避難所へ移動していただくこととし ています。
○また、避難所等で災害時に食料や飲料水等が不足する状況があれば、防災関 係機関と連携し、トラック協会の協力等により、各避難所や地域へ物資搬送を 行います。


項目(6) 「(11)屋内退避訓練」は、放射線防護機能がない一般家屋では内部被ばくが避けられないことが無視されている。ヨウ素剤も配布されていない。屋内 退避が長期化する場合、要援護者への支援等が不明。(P30)

(答)
○ 一般の家屋でも、木造であれ、コンクリート造であれ、その遮へい効果及び 密閉効果により、外部被ばく、内部被ばくを一定程度低減することが可能です。
○ 仮に一般の木造家屋で屋内退避を実施した場合、その密閉効果により、放射 性プルーム中の放射性物質について、呼吸により摂取する影響を約75%低 減することが可能であることが国際原子力機関(IAEA)より示されており、 プルーム通過に対する防護措置としては、放射性ヨウ素の内部被ばくにのみ 効果のある「安定ヨウ素剤の服用」ではなく、「屋内退避」が重要です。
○UPZ(5~30km圏)においては、全面緊急事態となった場合、原則、 住民の方は屋内退避とした上で、放射線量の測定結果を踏まえて、空間線量率 に応じ、一定期間内に避難していただくことになります。
○ なお、安定ヨウ素剤は、事前配布されている方以外は、この避難を行ってい ただく際に、集合場所や避難経路上において緊急配布することとしています。
○また、UPZ内における住民の方々の屋内退避と並行して、災害対策本部は その地域において避難や救助及び物資等が必要な方々の支援や、必要に応じ て要支援者宅への訪問など、関係機関と連携しながら対応を行います。


項目(7) 「(12)原子力災害医療対策訓練」の人のスクリーニングは、屋内で実施するべき。放射能で汚染された人や車両が多くなった場合の処置が想定され ていない。汚染された衣服の着替え等も用意されない。(P33)

(答)
○避難退域時検査に係る住民の検査や簡易除染について、国のマニュアルで 記載されているとおり屋内で実施することが原則ですが、その趣旨としては 悪天候への対応を念頭においたものであり、暑さ寒さ対策や雨等の対策がと れる場合は、屋外で仮設テントを用いた方が、スムーズな住民の移動動線が設 定でき、円滑な検査等が実施できると考えています。
○今回の訓練でも、屋外での寒さ対策としてストーブを数多く設置したり、要 員には使い捨てカイロを配布したりしたうえで、仮設テントを用いた訓練を 実施したところです。
なお、国のマニュアルにも「仮設テントを用いて屋外で検査及び簡易除染を 行うこともできます」と記載されているところです。
○検査により基準値以上の汚染が確認された住民や車両が増え、設定したレ ーン数や要員での対応に時間を要し、円滑な避難退域時検査の実施に支障が 出る場合には、検査及び簡易除染のレーン数や要員を増やすことで対応する ほか、場合によっては避難退域時検査場所を複数個所設置するなど状況に応 じて柔軟に対応したいと考えています。
○ 今回の訓練では、汚染された衣服の着替えも準備したところです。


項目(8) 「(13)住民等に対する広報訓練」は、停電や複合災害時はどこまで可能か検討の必要がある。(P36)

(答)
○万が一災害が発生し、いち早く住民の皆さまに避難指示等の情報をお届け する必要がある場合には、報道機関への報道要請、県公式SNSやホームペー ジ、緊急速報メールや防災ネットあんあん、市町の防災無線や広報車などあら ゆる手段を使い、情報伝達を行ってまいります。


項目(9) 「(15)九州電力の原子力発電所における緊急時対策訓練」では、大容量空冷式発電機の起動訓練が行われるが、起動しなかった場合の対策を訓練す るべき。格納容器破損を防ぐための冷却水不足の場合の人による淡水池から の冷却水送水設備設置訓練や格納容器破損の場合の格納容器から漏れる放射 能を放水砲で確実に撃ち落とせるかどうかの訓練を行う必要がある。 県は九電に対して、想定される大事故で被害を原発敷地外に及ぼさないため の訓練実施を要求するべき。(P42)

(答)
○ 九州電力に対して、これまでも
・ 実際の災害が起きたときには、計画どおりにいくとは限らないため、臨 機応変に対応する必要があり、そのためにも効率的・効果的な訓練を行っ て実践的な体制を作り上げること。
・防災訓練で災害時における対応手順の確認を行い、実践力の向上に力を 入れること。
等を求めており、今後も引き続きそうした対応を行うよう求めていきます。
○ なお、九州電力からは、
・ 大容量空冷式発電機が起動しない場合の訓練として、高圧発電機車や中 容量発電機車といった代替電源設備による給電や号炉間の電力融通等の 訓練
・ 格納容器破損防止のための冷却水の供給訓練として、移動式大容量ポン プ車の設置等の訓練
・ 発電所敷地外への放射性物質の拡散を抑制するための訓練として、放水 砲の設置や放水、シルトフェンスの設置等の訓練
等重大事故に備えた必要な訓練を年間を通して計画的に繰り返し実施してい ると聞いています。また、これら訓練の実施状況については、国の保安検査等 において確認されています。


項目(10) 受け入れ先を明確にしたUPZ外の避難訓練、二次避難を想定した訓練も行う必要がある。

(答)
○県では、原子力災害対策指針等に基づき、玄海原発からおおむね30km圏 内の玄海町、唐津市及び伊万里市の全域を原子力災害対策重点区域(PAZ及 びUPZ)とし、避難計画を策定することと定めています。
○これを踏まえ、PAZ及びUPZに所在する玄海町、唐津市及び伊万里市で は、30km圏内の全住民を30km圏外の17市町で受入れることができ るように、避難計画を策定し、避難元から避難先(受け入れ先)である市町へ の避難訓練も毎年、原子力防災訓練において実施しているところです。
○一方、UPZ外の地域においても、国の指針を踏まえ、緊急時モニタリング により空間線量を測定し、一定の放射線量が確認されれば、UPZと同様に避 難等の防護措置を実施することになりますが、福島の事例からも放射線量の 基準を超えて避難が必要な地域は一定の方向に限られると考えられ、計画上 避難先とされていても使用しない施設を避難先として活用していくこととし ています。
○さらに、UPZ外で避難が必要となった場合には、十分な時間的余裕(空間 線量が毎時20マイクロシーベルトを超えた地域は1週間程度以内に避難) があると考えており、その間に、PAZやUPZとの避難先の調整など、事態 に応じたオペレーションを検討し、実施することとしています。
○このようなことから、平時から様々なオペレーションを考えておくことは 大切なことですが、事態に応じた対策をとるUPZ外の地域について、あらか じめ避難計画を策定しておくことについては慎重な検討が必要と考えていま す。
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2019年2月14日付け
「原子力防災訓練に関する質問の追加提出について」への回答について


【2月2日の原子力防災訓練(内閣府とのTV会議)についての要望と質問】
項目(1) 内閣府とTV会議ができなかったことに関連して、情報伝達の各部署での非常用電源設備の有無を確認してください。

(答)
○1月31日付け要求書の「項目(1)」でも同様の回答をしました通り、原 子力災害時に災害対策本部が設置され、TV会議を行う県や、玄海町・唐津市・ 伊万里市の防災関係執務室やオフサイトセンターなどには非常用電源設備が 整備されており、停電時にはそれを稼働させることにより、電気が供給される ようになっています。
○また、万が一、長期に渡って停電が続くようなことがあっても、燃料(軽油 やA重油等)を調達することで、継続した発電を行うことが可能です。


項目(2)
国からの連絡が途絶えた場合の対応手順はどのように作成されていますか。

(答)
○TV会議システムに限らず、通信設備においては国と県、関係市町を繋ぐネ ットワーク回線をNTT回線以外にも専用線等、複数用意しており、いずれか の回線が使えなくても、他回線で代替えできる様、体制を整えています。
〇 また、災害の進展状況に応じてオフサイトセンターに原子力災害担当の副 大臣(もしくは政務官)を本部長とする国の現地災害対策本部が立ち上がるこ とになっていることから、仮に国(東京)との連絡が途絶えた場合においても、 オフサイトセンターで国が状況判断を行うことになります。

【質問の補充】
項目(ア)
訓練がわずか半日になった理由

(答)
○実動訓練に関しては、原子力災害時の避難行動を自分のものとしていただ くためにも、できる限り多くの方に参加していただけるよう、時間帯や日程(土曜や休日での開催)を設定しています。
〇住民の方々に参加いただく部分は、「避難指示が発令されてから避難所に避 難するところまで」であり、実際の避難に係る時間として半日程度と設定して います。
〇実際の災害時は、できるだけ短時間で迅速に確実に避難完了することが望 ましく、そういう意味での訓練にもつながると考えています。
〇また、今年度は2月2日に実動訓練を行いましたが、2月7日には佐賀県オ フサイトセンターにて終日、防災関係者を集めて図上訓練を実施しており、原 子力災害が起きた際にオフサイトセンターにおいてどのように対処するか、 連絡系統や対応手順の確認等を行ったところです。


項目(イ)
携帯電話基地局、防災ラジオの非常用電源の有無と利用可能時間

(答)
○携帯基地局や防災ラジオについては、それぞれ仕様・設備等が異なることか ら、一概に非常用電源の有無や利用可能時間等をお答えすることはできませ んが、参考まで、一般的な防災行政無線戸別受信機は、コンセントと乾電池の 両方の電源供給機能を有しており、電池が切れていると、音声や警告音で知ら せたり、乾電池の赤色ランプが点滅したりします。
○なお、県の防災行政無線の基地局は、非常用電源設備が整備されており、停 電時にはそれを稼働させることにより、電気が供給されるようになっていま す。
○また、万が一、長期に渡って停電が続くようなことがあっても、燃料(軽油 等)を調達することで、継続した発電を行うことが可能です。


項目(ウ) SPEEDIの使用を国は禁止していないし拡散予測に必要なので、利用の再検討の有無とその理由。

(答)
○1月31日付け要求書の「項目(2)」でも回答しました通り、国は、原子 力災害発生時において、
・ いつ、どのような放射性物質がどの程度放出されるかあらかじめ正確に予 測することは不可能であること
・ 気象予測にも不確実性が含まれること
・ SPEEDI等の予測的手法の結果に基づき避難を行った場合、その予測と異なる方向に放出があれば、かえって放射線被ばくの影響が増大するこ となどから、緊急時の避難等の判断にSPEEDI等の予測的手法は活用しな いこととしています。
○県としては、原子力施設周辺の住民等に対する放射線の影響を最小限に抑 える防護措置を確実なものとするための専門的・技術的事項を定めた国の原 子力災害対策指針に基づいて、避難を実施する必要があると考えているとこ ろです。


項目(エ)
ヘリテレ伝送システムの台数とその所属、事故時に他用務との併用の有無。

(答)
○ヘリテレ伝送システムは警察や自衛隊等のヘリが撮影した映像データを送 受信し、ほぼリアルタイムに、災害対応を行う執務室等に表示させることがで きる一連のネットワークシステムです。
〇このシステムは国やオフサイトセンター、県等に繋がっており、複数の場所 で複数のヘリが道路状況や被災状況の映像を撮影している場合も、チャンネ ル等を変えることで、複数の映像を送受信することが可能です。
〇災害時には、災害対策本部からこのシステムを使用することを前提に、情報 収集のためのヘリの出動を運航可能な関係各所(自衛隊、警察等)に要請し、状 況や必要に応じて協力を得ることになっています。


項目(オ) 放射性物質放出後の防護措置を判断するための基準OIL1の500マイクロシーベルト/時、OIL2の20マイクロシーベルト/時は高すぎるの で、見直しの有無あるいは県独自の判断基準設定検討の有無とその理由。

(答)
○国の原子力災害対策指針は、福島第一原子力発電所事故における教訓や国 際基準を踏まえた上で、住民への放射線の影響を最小限に抑えるための考え 方として定められたものです。
○県の地域防災計画では、この国の原子力災害対策指針を踏まえ、PAZ(5 km圏)においては、放射性物質の放出前に予防的に避難を実施し、UPZ(5
~30km圏)においては、「全面緊急事態」となった場合には原則屋内退避 としたうえ、空間線量率が毎時20マイクロシーベルトを超える地域では1 週間程度内、毎時500マイクロシーベルトを超える地域では1日以内に避 難することとしており、県独自の判断基準設定は行っておらず、その検討もし ていません。
○参考まで、国際基準と比較した場合、上記の毎時20マイクロシーベルトに 対して国際原子力機関(IAEA)の基準は毎時100マイクロシーベルト、 毎時500マイクロシーベルトに対してIAEAの基準は毎時1000マイ クロシーベルトとなっています。
○万が一、原子力災害が発生した場合には、この避難方法により、地域住民の 皆さんへの被ばくの影響をできる限り低減しながら避難していただくことと しています。


項目(カ) 県は30キロ圏外市町の訓練参加をどのように要請していますか。30キロ圏外の市町の住民への情報伝達訓練はどこまで行われると把握していますか。 30キロ圏内外で原子力災害対策本部を立ち上げる訓練をした市町がありま すか。市町で避難誘導等を担当する人たちへの原子力防災に関する研修は行 われていますか。また、防護服等は準備されていますか。

(答)
○県では、原子力災害対策指針等に基づき、玄海原発からおおむね30km圏 内の玄海町、唐津市及び伊万里市の全域を原子力災害対策重点区域(PAZ及 びUPZ)とし、避難計画を策定することと定め、この3市町の関係機関の職 員や住民等を中心に訓練を実施しています。
○ 具体的には、PAZ及びUPZに所在する玄海町、唐津市及び伊万里市では、30km圏内の全住民を30km圏外の17市町で受入れることができるよ うに避難計画を策定しており、毎年、訓練時には17市町のうちの数市町が、3市町からの避難者を受け入れる避難所設置訓練等を実施されているところ です。
○なお、災害時にはUPZ外の地域においても、国の指針を踏まえ、緊急時モ ニタリングにより空間線量を測定し、一定の放射線量が確認されれば、UPZ と同様に避難等の防護措置を実施することになりますが、福島の事例からも 放射線量の基準を超えて避難が必要な地域は一定の方向に限られると考えら れ、計画上避難先とされていても使用しない施設を避難先として活用してい くこととしています。
○さらに、UPZ外で避難が必要となった場合には、十分な時間的余裕(空間 線量が毎時20マイクロシーベルトを超えた地域は1週間程度以内に避難) があると考えており、その間に、PAZやUPZとの避難先の調整など、事態 に応じたオペレーションを検討し、実施することとしています。
○このようなことから、平時から様々なオペレーションを考えておくことは 大切なことですが、事態に応じた対策をとるUPZ外の地域について、あらか じめ避難計画を策定しておくことや、それを踏まえた訓練を実施することに ついては慎重な検討が必要と考えています。
〇研修については毎年、市町の職員等を対象とした初任者向けの基礎的知識 を学ぶ研修や災害対策要員向けの専門的な研修、バス事業者を対象とした研 修などを国や県が主催・実施しており、今年度は8回の研修会が開催されたと ころです。
○ 今年度開催された8回の研修会には、県職員78名、市町職員16名の合計
94名のほかにもバス事業者の方など、多くの方々に参加していただいてお り、今後もより多くの職員に参加していただくことが必要と考えているとこ ろです。
〇また、災害対応要員向けの防護服等の資機材は、玄海町、唐津市、伊万里市 の3市町内の複数箇所に配備しており、いざというときにはそれらを使用す ることになっています。


項目(キ) 屋内退避で被ばくする可能性があることを、明確に県民に知らせる必要性があると思いますか。30キロ圏外を含む詳細なモニタリングは実際にはど のように行われますか。ホットスポット等の測定は可能ですか。(マニュアル 等があればご提示ください。)

(答)
○県としては地域住民の方々が安全かつ、よりスムーズに短時間で移動し、避 難していただくためには、
・ 原子力発電所に近接しているPAZ(5km圏)にお住まいの方が予防的に 避難する
・ UPZ(5~30km圏)にお住まいの方は、まず放射線防護措置として屋 内退避をしていただき、放射線量の測定結果を踏まえ、避難が必要な地域 を特定して、その地域の方のみ避難する
という避難の方法が、地域住民の方々全体の被ばくリスクを最も少なくするこ とにつながる、ということを御理解いただき、協力していただきたいと考えて います。
○現在の原子力災害対策の考え方は、福島における原子力災害の教訓や国際基 準の考え方を踏まえ、住民への放射線の影響を最小限に抑えるために定められ た考え方であることからも、原子力災害時の避難行動の在り方を住民の方々に しっかり理解していただけるよう、今後も周知を行ってまいりたいと考えてい るところです。
○いずれにしても、避難計画の周知の取り組みが重要であり、継続して行うこ とが必要と認識しており、今後とも、市町と連携を図りながら、しっかりと取 り組んでまいります。
〇モニタリングについては、警戒事態に至った時点で、固定観測局による監視 の強化(30km圏内58地点)、可搬型モニタリングポストの設置起動(30km圏外の各市町に19台を配備済み)等、平常時のモニタリングを強化 し、緊急時モニタリングへの準備を開始します。
○施設敷地緊急事態に至った際には、国が緊急時モニタリングセンターを設置 し、県は、緊急時モニタリングセンターの一員として、国の策定する緊急時モ ニタリング実施計画に基づき緊急時モニタリングを開始します。
○事故の状況やモニタリング結果を踏まえ、緊急時モニタリング実施計画は適 宜改訂され、必要に応じ、30km圏外を含めたモニタリングカーによる走行 サーベイやサーベイメータによる測定等を実施する中で、高い空間放射線量率 の区域を特定します。


項目(ク) 車両の水洗での除染は、スクリーニング場所※1か所当たり、1時間に何台できますか。自衛隊は何か所で、また全部で最大何台の車両を水洗で除染でき る計画ですか。 ※スクリーニング場所は現在12か所とされている。

(答)
○車両除染等を含めた避難退域時検査を行う場所としては、現在、県内12か 所を指定しています。
○避難退域時検査での簡易除染については、原則拭取りによる除染を行うこ ととされており、流水による除染は給水・排水回収の設備が整った場合に限ら れていることから、水洗除染を前提とした避難退域時検査実施の計画はあり ません。
○ このような中、訓練で実施した車両の水洗除染訓練は、水の給排水の管理も 行える自衛隊の協力が得られたとの想定のもとに行っており、実施に当たっ ては、住民の検査や簡易除染の個所と距離を設けるように場所を設定したり、 車両の両側には水しぶきの飛散防止のための幕を張ったりと工夫に努めてい るところです。
○なお、拭取り等を行った汚染物については、他の廃棄物と分別して保管し、 原子力発電事業者に引き渡した後、適切に保管及び処理されます。また、水洗 除染を行った場合でも、その排水はドラム缶等で分別して保管し、原子力発電 事業者に引き渡した後、適切に保管及び処理されます。
○車両の水洗除染時間については、車両ごとに汚染のレベルや範囲等が異な ることから、一概に1時間に何台除染ができるかをお答えすることはできま せん。
○いずれにしても、避難や一時移転の迅速性を損なうことがないよう、訓練等 を通じて検査や除染の技能向上を図っていくことが重要と考えており、関係 機関との連携を図りながら、しっかりと対応に取り組んでいるところです。

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